こんばんは。
今日は9月10日。
7年前の今日、僕たちははじめの一歩を踏み出したのでした。
今日で7年。
7年前の今日がどんな日だったか、今となっては思い出せません。
だからあれから7年後の今日がどんな日だったか、後で振り返りたくなった時のために記録しておこうと思います。
早朝。
いつも通りに目が覚める。
プラごみとビン缶ゴミの日。
今朝は自分より早起きの人がいる。
カラス除けのグリーンボックスが既に出されているからわかる。
最近は朝が涼しくて、いやちょっと寒いくらいで、上着を一枚羽織って出る。
でも今日はちょうどいい涼しさで、家の外まで出たところで踵を返し、ドアを開けて玄関に上着を置いて出る。
久々の晴天。
コンビニでシュークリームとコーヒー。
間違いないコンビ。
ヒロさんが植物の世話をしに来てくれる。
植物だけじゃない、僕もずいぶんお世話になり過ぎている。
ヒロさんがそこにいるだけで、その辺が明るくなるようだ。
エネルギーのある人は、周りにもエネルギーを与えるのだと思う。
ヒロさんが帰ったあとも、しばらく存在の余韻が留まっている。
食パンの生地を作りながら、いつも通りの所作で働く。
アンプの電源を入れて、聴きたい曲を選ぶ。
マクリーンのアルト。
このアルバム。一曲目で珍しくテナーも吹いてる。

ジャケからして最高に渋い。
この表情は何だろう。
とにかく最高だ。
もう随分前からジャッキー・マクリーンばっかり聴いている。
その中でもこのアルバムは一番好きだ。
マクリーンの輝かしいディスコグラフィの中では特別目立ったアルバムじゃない。
でも、このアルバムの全体に漂うフィーリングが何より気に入っている。
音の波に揺られながら雑穀フランスパンの生地を窯に入れようとしたところで国分さんが小麦粉を持って来てくれる。
国分さんは小麦粉を取り扱う業者さんで、開店前の何者でもなかった僕を一人前の人間扱いしてくれた数少ない恩人の一人だ。
ただ店まで小麦粉を持ってきてくれる、気のいいおじさんに見えるかもしれない。
でも実際はこの店のメンターのような存在だ。
いや、それはやっぱり言い過ぎかもしれない。
とにかく最高なおじさんだ。
マクリーンと国分さんが共存する店内は最高にグルーヴィーだ。
7年前と何も変わらない。
でも最近はおじさんの腰に当てられたサポーターが気になる。
一袋につき25㎏の粉をいくつも運ぶんだから、業者さんは本当に大変だと思う。
身体を大事にして、いつまでも粉を運んできてほしい。
なんてわがままは言わないから、とりあえず元気でいてほしい。
そうこうしてるうちに開店時間だ。
いつも通りパンを並べて、冷めたコーヒーを一口飲む。
昨日は雨で暗くて暇な時間がいっぱいあったけど、今日は朝から空が明るくて暑くてパンの発酵も早い。
そしてお客様もたくさん来てくださっている。
次から次に注文が入って、ここから2時間くらいは目が回りそうに忙しい。(嬉しい。)
一人一人の方の顔を見て、出来得る限りの感謝をお伝えする。
その中にMさんの顔を見つける。
Mさんはご近所にお住まいの方で、開店当初パンが売れない頃いつも助けてくださった。
最近はあまりお姿を見かけなかったけど、たまに焼き芋を持ってきてくれたりしてその度にほっこりした。
今日というメモリアルな日の、久方ぶりのご来店に何かしらの縁を感じずにいられない。
昼過ぎ。
いつも通り営業を終え、鳥一で買った焼き鳥を賄いのパンと合わせて今日の昼ご飯とする。
このスタイルももうかれこれ8年目に突入する。
ほぼ毎日食べても飽きない焼き鳥があるだろうか。
ある。
ここ成田東に。
ちなみに今日は鳥一のお姉さんがうちのBLTサンドを買って行ってくれた。
感謝。
昼ご飯を食べ終わった、ちょうどその素晴らしいタイミングで山本さんが到着。
ウーバーイーツの配達みたいな黒い箱を自転車に乗せて。
中には至高のケーキが三種類入っている。
結構人ミルクホールのケーキ。
このやりとりも、気が付けばもう何年目だろう。
いつの間にか長いお付き合いになっている。
本当にありがたい。
帰り道、八百屋の前を通って挨拶をしたらおばちゃんは寝ていた。
これも天気のいい昼下がりのルーティン。
そして家の近所の自販機でこんなのを見つけた。

よくわからないけど、これは絶対好きなやつだと思う。
家について一気に飲み干す。
CHILL.
着替えていたら、チャイムが鳴る。
キャップを被った青年が何か喋っている。
銀色の保冷バッグに入った何かを売りに来たらしい。
出てみると、クリーム何とか、と書かれたのぼりがはためいている。
ランチを腹いっぱい食べてのんびりCHILLしてたところだったので戸惑う。
説明を聞いてると、どうやらクリームがぎっしり詰まった何からしい。
「シュークリームですか?」
と一応聞いてみた。
もし「そうですね」と言ってくれたら、「朝シュークリーム食べちゃったんですよねー」とか言いつつ断れそうだ。
しかし「パンです」、とその青年は言う。
困った。
これが(シュークリームっぽいんだけど)パンだとすると、この暑い中、パンの行商をしている青年の頼みを同業者として無碍に断ることはできない。
さりげなく6個セットを勧めてくる青年をかわしつつ、1個だけ買った。

(ちぎったところですみません)
感想。
これは(どっちかと言えば)シュークリームですね。
夜。
昨日お向かいさんからいただいた梨のお裾分けをありがたくいただく。
前にも梨をもらったことがあり、いつももらってばっかりなのでたまには何か差し上げるべき、と思い、でもわざわざお菓子とか買うのも逆に気を遣わせそうだし、とかごちゃごちゃした末に自分の作ったパンを持っていったことがあった。
お向かいさんは僕がパン職人であることをご存じではなく、「実はパン屋やってるんですよー」とか今さら言うのもねー、でも言わないとすると「これ僕が作ったんですよー」って、よくわかんない近所の人(=僕)が作ったという、謎のパンをいきなりもらっても戸惑うだろうし、、とかごちゃごちゃした末に、「これ、阿佐ヶ谷の方のパン屋のパンです。(=間違いではない。事実。)」とか言いながらぶどうパンを差し上げた。
梨はとってもジューシーで美味しかった。
夕飯の後で外に出る。
空が澄んでいる。

うん。
今日もいい一日だった。
7年目もいい年だった。
8年目もいい年になりそう。
これからもどうぞよろしくお願いします。
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