新しいパンのご紹介
- 2015/01/21
- 01:31
こんばんは。
いよいよ寒さが厳しくなってきた折、皆様いかがお過ごしでしょうか。
少しずつ変わっていく季節の中で、パンの発酵の様子も少しずつ変わっていきます。
ラジオのチューニングを合わせるように、地道な調整をする日々です。
年始に行った感謝セールで初めてお披露目した新しいパンも、毎日作り続け、試食を重ね、そして常連のお客様からご意見をいただき、微調整・マイナーチェンジを経て少しずつ進化しています。
今日は改めてそれらの新しいパンをご紹介します。
・ぶどうフランス

普通、パン生地にドライフルーツを混ぜる時は生地のミキシング中にミキサーボウルの中へドバッとドライフルーツを投入して、機械の力で一気に混ぜ合わせるのですが、僕はミキシング中にはドライフルーツを混ぜず、捏ね上がった生地にドライフルーツを一つ一つ手で埋め込んでいます。レーズンは使う前に水で洗って、さらに漬け置きして水分をふくませた状態で使うのですが、水を吸った分柔らかくなっているので、ミキサーに入れると潰れることがあるのです。
レーズンの粒が残っていた方が見た目にもきれいだし、食感もいいので、時間も手間もかかりますが一粒ずつ手作業で行っています。これから生産量が増えて手作業で追いつかなくなった時はどうするか、、。その時はその時で考えます。
また、角型に入れて焼くとふっくら膨らんで美味しそうなのに加え、おだやかでありながら噛みごたえのある食感になるのも気に入っています。翌日には薄くスライス&トーストして食べるのも美味しいです。
・コーンフランス

昔、とあるパン屋さんでコーンパンというものがあり、それ目当てに行列が出来るくらい人気だというので、「たかがとうもろこし入れたくらいで何だよ、、普通のパンだろ、、」と半信半疑で食べてみたら「あれ、、?ん、、なんだこれめちゃくちゃうめぇぞ!?」と唸った記憶が、あったようななかったような、まぁそれはいいとして、フランスパン生地でどこまでいけるかを試してみたかった、そんなパンです。
当初、お子様向けにお出ししていたプチフランスの延長線上にあります。かたいパンは食べられない、それでも当店にお越しくださる、そんな方の優しさに応えるべく生まれたパンです。
オーブンの中でクラスト(皮)が形成され始めるか否かの一瞬をねらって窯出しします。
一口かじるともっちりした生地が口の中いっぱいに広がり、やがてスッと溶けていきます。そしてコーンの甘味が静かに追いかけてきます。以前のプチフランスをはるかに上回るもっちり感は、コーンから出る水分によるものと、すこし大き目の生地量で焼くために水分が抜けきらずに残ることのおかげです。
また、当店のパンをお買い上げいただいた際は、フランスパンの品質保持のため(湿気ないように)通常は紙袋に入れてお渡ししていますが、このパンだけは別にビニール袋を用意してお渡ししています。あえて湿気がある状態で、水分を保たせたいからです。翌日にはトースターにかけても美味しいですが、このパンだけは電子レンジで20秒ほど温めるともっちりしてまた別の美味しさがあります。たった20秒で食感が戻ることから、時間のない朝にも向いているパンです。
・チョコフランス

僕にとって自ら作ったパンは全て愛おしいものであり、それこそ我が子のようにかけがえのない存在なので選り好みをすることはできないのですが、そういう思いを抑えて客観的にパンを並べた時、プレーンなフランスパンと雑穀フランスパンを除くバラエティブレッドの中では現時点で一番人気のパンです。
まとめ買いをしていただくことが多くあるため、焼き上がった直後になくなる、ということも少なくありません。
試作段階では細長いバトン状に成形して、チョコを一枚だけ包んでクープ(切り込み)を数本入れていたのですが、イメージしていた食感にならず、何度目かの試作でこのような形になりました。
このパンはとにかくパリパリの食感に仕上げたかったので、生地をピザのように薄く伸ばして成形しています。チョコも思い切って二枚詰め込んでいます。おかげで断面を見ると半分以上がチョコ、非常にワイルドなビジュアルになっています。

僕は大体において形から入るタイプで、フランスパンにここまで惹かれるのはバゲットがパンの中で最も美しい、と感じているから、それも理由の一つです。
そういう意味ではこのチョコフランスはカッコよくないかもしれません。形はあえて潰れるようにしてあるし、美しいクープが入っているわけでもありません。
でも、そういう割り切りのおかげで、理想の食感を追究した結果として、いいパンになったと思っています。
「男は顔じゃねぇ、中身だ!」という昔よく聞いた歌を思い出させる、質実剛健なパンです。
・ベリーフランス

クリスマスに焼いたパン(Noel)を召し上がった方から、ああいうパンをまた食べたい、と言っていただいたことが、今回の一連の新作に繋がったわけですが、このパンはそんなクリスマスのパンの延長線上にあるものです。
当初、クリスマスのパンと同じようにバゲット形で、かなり強く焼き色をつけていたのですが、何回か食べているうちにこれは違う、と感じてから試行錯誤しました。
色々変えているうちに、何となくベーグル形にしてみたら面白いかなと思ってやってみたら、これが自分の中で一番しっくりきました。
自分がパンを考える時は味とか食感とかのイメージがまずあって、それを実現するために形や焼き方を後から決めていくのですが、このパンはまず形が出来て、後からイメージが湧いてきました。
ベーグルにはケトリング、という生地を茹でる工程があるのですが、これはもちろん茹でてません。
ベーグル形にして、焼き時間を変えたら、食感までベーグルっぽくムギュッとしてくるから不思議なものです。
そうは言ってもフランスパンなので、クラストはきちんとパリパリです。
どこからかじってもクランベリーにあたるように、ぎっしり詰めこみました。
甘酸っぱいクランベリーがフランスパン生地によく合います。
店内ではご希望があれば真ん中に切り込みを入れてクリームチーズをはさんでお出しすることもあります。
形を変えてから明らかに前より売れるようになって、「やっぱ見た目って大事だな」、と先程までとは矛盾する思いをしみじみ感じる次第です。
・あんフランス

雑穀フランスパンの生地とあんこは相性が良い、と常々感じていました。ごまと、粒あんの組み合わせがいいです。
すでにあんバターのサンドイッチがメニューにありますが、バゲットサンドはかたい、でもあんパンが好き、というご年配の方に何とかして当店のあんパンを召し上がっていただきたいと考えた末に生まれたパンです。バゲットのように硬くはなく、かといってコーンフランスのようにもっちりはしません。歯をあてると、ザクッと噛み切れるくらいの食感です。かたくなる一歩手前で香ばしさを出したい、そんなパンです。試作段階ではあんこを詰めて焼いていましたが、あんこの水分が飛んでパサパサした感じになるので、今では焼き上がって粗熱がとれてから、パンを切ってみずみずしいあんこを詰めるようにしています。
この「後から詰める」というスタイルをいかして、あんこでなくジャムを入れてお出ししていることもあります。

・ウィンナーフランス

当店でお出ししているホットドッグのバゲットサンドをアレンジしたものです。このウィンナーがとにかく美味しくて、その良さをいかしたパンにしたいなーと思っていました。具体的には巻き付ける生地の量と巻く回数です。商品化してから三回、マイナーチェンジをしています。個人的には今の生地量と巻きがベストかなと思っています。でもしばらくしたらまた感じ方が変わって、手を加えるかもしれません。毎回試食できたらいいのですが、これはそんなにたくさん作れないため、残ることが少なく、そりゃー自分が食べるよりはお客様に召し上がっていただいた方がいいに決まってるので残らなくて嬉しいのですが、それでもどこかで、ああ、残らなかったな、、。と複雑な思いを抱かせる、そんなパンです。
要するに美味しいから食べたくなるパンです。
昼時に目の前にあったりするとつい右手が伸びそうになって、慌てて左手で制する、そんなパンです。
以上、新しいパンのご紹介でした。
これからもフランスパンの新たな可能性を追究していきます。
いよいよ寒さが厳しくなってきた折、皆様いかがお過ごしでしょうか。
少しずつ変わっていく季節の中で、パンの発酵の様子も少しずつ変わっていきます。
ラジオのチューニングを合わせるように、地道な調整をする日々です。
年始に行った感謝セールで初めてお披露目した新しいパンも、毎日作り続け、試食を重ね、そして常連のお客様からご意見をいただき、微調整・マイナーチェンジを経て少しずつ進化しています。
今日は改めてそれらの新しいパンをご紹介します。
・ぶどうフランス

普通、パン生地にドライフルーツを混ぜる時は生地のミキシング中にミキサーボウルの中へドバッとドライフルーツを投入して、機械の力で一気に混ぜ合わせるのですが、僕はミキシング中にはドライフルーツを混ぜず、捏ね上がった生地にドライフルーツを一つ一つ手で埋め込んでいます。レーズンは使う前に水で洗って、さらに漬け置きして水分をふくませた状態で使うのですが、水を吸った分柔らかくなっているので、ミキサーに入れると潰れることがあるのです。
レーズンの粒が残っていた方が見た目にもきれいだし、食感もいいので、時間も手間もかかりますが一粒ずつ手作業で行っています。これから生産量が増えて手作業で追いつかなくなった時はどうするか、、。その時はその時で考えます。
また、角型に入れて焼くとふっくら膨らんで美味しそうなのに加え、おだやかでありながら噛みごたえのある食感になるのも気に入っています。翌日には薄くスライス&トーストして食べるのも美味しいです。
・コーンフランス

昔、とあるパン屋さんでコーンパンというものがあり、それ目当てに行列が出来るくらい人気だというので、「たかがとうもろこし入れたくらいで何だよ、、普通のパンだろ、、」と半信半疑で食べてみたら「あれ、、?ん、、なんだこれめちゃくちゃうめぇぞ!?」と唸った記憶が、あったようななかったような、まぁそれはいいとして、フランスパン生地でどこまでいけるかを試してみたかった、そんなパンです。
当初、お子様向けにお出ししていたプチフランスの延長線上にあります。かたいパンは食べられない、それでも当店にお越しくださる、そんな方の優しさに応えるべく生まれたパンです。
オーブンの中でクラスト(皮)が形成され始めるか否かの一瞬をねらって窯出しします。
一口かじるともっちりした生地が口の中いっぱいに広がり、やがてスッと溶けていきます。そしてコーンの甘味が静かに追いかけてきます。以前のプチフランスをはるかに上回るもっちり感は、コーンから出る水分によるものと、すこし大き目の生地量で焼くために水分が抜けきらずに残ることのおかげです。
また、当店のパンをお買い上げいただいた際は、フランスパンの品質保持のため(湿気ないように)通常は紙袋に入れてお渡ししていますが、このパンだけは別にビニール袋を用意してお渡ししています。あえて湿気がある状態で、水分を保たせたいからです。翌日にはトースターにかけても美味しいですが、このパンだけは電子レンジで20秒ほど温めるともっちりしてまた別の美味しさがあります。たった20秒で食感が戻ることから、時間のない朝にも向いているパンです。
・チョコフランス

僕にとって自ら作ったパンは全て愛おしいものであり、それこそ我が子のようにかけがえのない存在なので選り好みをすることはできないのですが、そういう思いを抑えて客観的にパンを並べた時、プレーンなフランスパンと雑穀フランスパンを除くバラエティブレッドの中では現時点で一番人気のパンです。
まとめ買いをしていただくことが多くあるため、焼き上がった直後になくなる、ということも少なくありません。
試作段階では細長いバトン状に成形して、チョコを一枚だけ包んでクープ(切り込み)を数本入れていたのですが、イメージしていた食感にならず、何度目かの試作でこのような形になりました。
このパンはとにかくパリパリの食感に仕上げたかったので、生地をピザのように薄く伸ばして成形しています。チョコも思い切って二枚詰め込んでいます。おかげで断面を見ると半分以上がチョコ、非常にワイルドなビジュアルになっています。

僕は大体において形から入るタイプで、フランスパンにここまで惹かれるのはバゲットがパンの中で最も美しい、と感じているから、それも理由の一つです。
そういう意味ではこのチョコフランスはカッコよくないかもしれません。形はあえて潰れるようにしてあるし、美しいクープが入っているわけでもありません。
でも、そういう割り切りのおかげで、理想の食感を追究した結果として、いいパンになったと思っています。
「男は顔じゃねぇ、中身だ!」という昔よく聞いた歌を思い出させる、質実剛健なパンです。
・ベリーフランス

クリスマスに焼いたパン(Noel)を召し上がった方から、ああいうパンをまた食べたい、と言っていただいたことが、今回の一連の新作に繋がったわけですが、このパンはそんなクリスマスのパンの延長線上にあるものです。
当初、クリスマスのパンと同じようにバゲット形で、かなり強く焼き色をつけていたのですが、何回か食べているうちにこれは違う、と感じてから試行錯誤しました。
色々変えているうちに、何となくベーグル形にしてみたら面白いかなと思ってやってみたら、これが自分の中で一番しっくりきました。
自分がパンを考える時は味とか食感とかのイメージがまずあって、それを実現するために形や焼き方を後から決めていくのですが、このパンはまず形が出来て、後からイメージが湧いてきました。
ベーグルにはケトリング、という生地を茹でる工程があるのですが、これはもちろん茹でてません。
ベーグル形にして、焼き時間を変えたら、食感までベーグルっぽくムギュッとしてくるから不思議なものです。
そうは言ってもフランスパンなので、クラストはきちんとパリパリです。
どこからかじってもクランベリーにあたるように、ぎっしり詰めこみました。
甘酸っぱいクランベリーがフランスパン生地によく合います。
店内ではご希望があれば真ん中に切り込みを入れてクリームチーズをはさんでお出しすることもあります。
形を変えてから明らかに前より売れるようになって、「やっぱ見た目って大事だな」、と先程までとは矛盾する思いをしみじみ感じる次第です。
・あんフランス

雑穀フランスパンの生地とあんこは相性が良い、と常々感じていました。ごまと、粒あんの組み合わせがいいです。
すでにあんバターのサンドイッチがメニューにありますが、バゲットサンドはかたい、でもあんパンが好き、というご年配の方に何とかして当店のあんパンを召し上がっていただきたいと考えた末に生まれたパンです。バゲットのように硬くはなく、かといってコーンフランスのようにもっちりはしません。歯をあてると、ザクッと噛み切れるくらいの食感です。かたくなる一歩手前で香ばしさを出したい、そんなパンです。試作段階ではあんこを詰めて焼いていましたが、あんこの水分が飛んでパサパサした感じになるので、今では焼き上がって粗熱がとれてから、パンを切ってみずみずしいあんこを詰めるようにしています。
この「後から詰める」というスタイルをいかして、あんこでなくジャムを入れてお出ししていることもあります。

・ウィンナーフランス

当店でお出ししているホットドッグのバゲットサンドをアレンジしたものです。このウィンナーがとにかく美味しくて、その良さをいかしたパンにしたいなーと思っていました。具体的には巻き付ける生地の量と巻く回数です。商品化してから三回、マイナーチェンジをしています。個人的には今の生地量と巻きがベストかなと思っています。でもしばらくしたらまた感じ方が変わって、手を加えるかもしれません。毎回試食できたらいいのですが、これはそんなにたくさん作れないため、残ることが少なく、そりゃー自分が食べるよりはお客様に召し上がっていただいた方がいいに決まってるので残らなくて嬉しいのですが、それでもどこかで、ああ、残らなかったな、、。と複雑な思いを抱かせる、そんなパンです。
要するに美味しいから食べたくなるパンです。
昼時に目の前にあったりするとつい右手が伸びそうになって、慌てて左手で制する、そんなパンです。
以上、新しいパンのご紹介でした。
これからもフランスパンの新たな可能性を追究していきます。
スポンサーサイト