北の国から
- 2016/07/08
- 23:28
こんばんは。
今日までお休みをいただいて帰省していました。
休むことなくひたすらパンを作る、という日常から、パンを作らない、という非日常へ。
普段の暮らしから外へ出て、遠いところに身を置く。
そこから普段の暮らしを振り返る。
客観的視点。
今朝まで札幌にいました。
前回来たのは二年前の四月でした。
その後東京に帰って今の物件に出会い、目まぐるしいスピードで開店準備を進め、九月にオープンしたのでした。
札幌に来ると、いつもインスピレーションをもらいます。
そこで出会う人や、食べるもの、街を歩いたり自然の中に包まれたりすること、そういう経験が少しずつ自分に影響を与えてくれます。
なかでも札幌で食べるパンは、何か特別な感じがします。
自分が店を始める前、何かをつかもうとして、必死な思いで食べていたからかもしれません。
今回も札幌と、近郊のパン屋を巡りました。
毎日毎日どこかしらの店に行って、その土地の、そこで行われる営みの、深いところにあるエッセンスを感じようと試みました。
店を始める前に食べて、パンはもちろん、そのロケーションや、店の佇まい、空気感、そういう全てが刺激的だったパン屋さんへ。
札幌の端から車を走らせること約二時間。小樽を通り抜けて、さらにその先へ。
目の前には日本海、崖に立つパン屋。

神聖さすら漂う、厳かな場所。
大型のパンが貫禄たっぷりに並ぶ中から、目についたものを選んで大事に持ち帰りました。

色んな角度から眺め、香りを嗅ぎ、味を確かめる。

毎日そんなことを繰り返していました。
東京に戻る前日、ぼんやりパンを食べていたとき、ふと閃きました。
「ああ、小麦畑を見てみたいな」
と。
幸いなことに、車で30分も走れば、江別という小麦の産地に行けそうでした。
何のアポイントもありませんでしたが、気の向くままに行ってみることにしました。
僕が使っている唯一の小麦粉は、江別製粉のものです。
開店前の試作期間も含めれば約二年間、ずっと使い続けてきて、苦楽を共にしてきた小麦粉です。
この小麦のことを、もっと知りたい、いや、この目で見て、何かを感じたい、そう思いました。
ほぼ貸切状態の国道をひたすら飛ばし、思ったよりも早く目的地に着きました。
江別製粉。

本当に何のツテも約束もなく、いきなり訪ねていったのですが、そんな僕を拒むことなく、きちんと対応してくださった受付の方。
東京から来たという、どこの馬の骨ともわからない男に、懇切丁寧に小麦畑の場所と、小麦の特徴について教えてくださった担当者様。
僕としては、いつも美味しい小麦粉を届けてくださってありがとうございます、と伝えられたら、くらいの気持ちだったのですが、逆に小麦粉を使ってくれてありがとうございます、と感謝されてしまい、ともかくああ来て良かったなぁとしみじみ感じたところでした。
教えてもらった小麦畑は車ですぐのところにありました。
通りすぎる車も人もおらず、僕一人。
目の前に広がる、小麦畑。

これか、これが僕の使っている小麦か、
そう思ったら何ともいえず嬉しくなりました。
事前に製粉会社で教えていただいた通り、二種類の小麦が育てられていました。
春よ恋と、きたほなみです。
野毛(のげ)という、麦粒の先端から生えている毛のようなものがしっかりあるのが春よ恋、

野毛が目立たずツルッとしてるのがきたほなみです。

しばらく二つの小麦を眺め、写真を撮り、そしてまた改めて小麦畑を眺めました。
春よ恋は、風邪が吹くと長い野毛がさらさらと揺れて、小麦畑全体が波打つように揺れます。それがとても良い眺めでした。
畑を後にして、近くの牧場でソフトクリームを食べ、帰途に着きました。
そして今日。
明日からの営業に向けて生地を仕込みに出勤しました。
久々に小麦粉に触れ、生地に触れる、その間中、昨日見た小麦のことを思い出していました。
僕の心の中には、小麦畑がありました。
だから何だというわけではありませんが、これから僕がパンを作るとき、折に触れてあの景色を思い出すでしょう。
伸びやかに育つ麦の穂と、北の大地の恵みに感謝しながら。
今日までお休みをいただいて帰省していました。
休むことなくひたすらパンを作る、という日常から、パンを作らない、という非日常へ。
普段の暮らしから外へ出て、遠いところに身を置く。
そこから普段の暮らしを振り返る。
客観的視点。
今朝まで札幌にいました。
前回来たのは二年前の四月でした。
その後東京に帰って今の物件に出会い、目まぐるしいスピードで開店準備を進め、九月にオープンしたのでした。
札幌に来ると、いつもインスピレーションをもらいます。
そこで出会う人や、食べるもの、街を歩いたり自然の中に包まれたりすること、そういう経験が少しずつ自分に影響を与えてくれます。
なかでも札幌で食べるパンは、何か特別な感じがします。
自分が店を始める前、何かをつかもうとして、必死な思いで食べていたからかもしれません。
今回も札幌と、近郊のパン屋を巡りました。
毎日毎日どこかしらの店に行って、その土地の、そこで行われる営みの、深いところにあるエッセンスを感じようと試みました。
店を始める前に食べて、パンはもちろん、そのロケーションや、店の佇まい、空気感、そういう全てが刺激的だったパン屋さんへ。
札幌の端から車を走らせること約二時間。小樽を通り抜けて、さらにその先へ。
目の前には日本海、崖に立つパン屋。

神聖さすら漂う、厳かな場所。
大型のパンが貫禄たっぷりに並ぶ中から、目についたものを選んで大事に持ち帰りました。

色んな角度から眺め、香りを嗅ぎ、味を確かめる。

毎日そんなことを繰り返していました。
東京に戻る前日、ぼんやりパンを食べていたとき、ふと閃きました。
「ああ、小麦畑を見てみたいな」
と。
幸いなことに、車で30分も走れば、江別という小麦の産地に行けそうでした。
何のアポイントもありませんでしたが、気の向くままに行ってみることにしました。
僕が使っている唯一の小麦粉は、江別製粉のものです。
開店前の試作期間も含めれば約二年間、ずっと使い続けてきて、苦楽を共にしてきた小麦粉です。
この小麦のことを、もっと知りたい、いや、この目で見て、何かを感じたい、そう思いました。
ほぼ貸切状態の国道をひたすら飛ばし、思ったよりも早く目的地に着きました。
江別製粉。

本当に何のツテも約束もなく、いきなり訪ねていったのですが、そんな僕を拒むことなく、きちんと対応してくださった受付の方。
東京から来たという、どこの馬の骨ともわからない男に、懇切丁寧に小麦畑の場所と、小麦の特徴について教えてくださった担当者様。
僕としては、いつも美味しい小麦粉を届けてくださってありがとうございます、と伝えられたら、くらいの気持ちだったのですが、逆に小麦粉を使ってくれてありがとうございます、と感謝されてしまい、ともかくああ来て良かったなぁとしみじみ感じたところでした。
教えてもらった小麦畑は車ですぐのところにありました。
通りすぎる車も人もおらず、僕一人。
目の前に広がる、小麦畑。

これか、これが僕の使っている小麦か、
そう思ったら何ともいえず嬉しくなりました。
事前に製粉会社で教えていただいた通り、二種類の小麦が育てられていました。
春よ恋と、きたほなみです。
野毛(のげ)という、麦粒の先端から生えている毛のようなものがしっかりあるのが春よ恋、

野毛が目立たずツルッとしてるのがきたほなみです。

しばらく二つの小麦を眺め、写真を撮り、そしてまた改めて小麦畑を眺めました。
春よ恋は、風邪が吹くと長い野毛がさらさらと揺れて、小麦畑全体が波打つように揺れます。それがとても良い眺めでした。
畑を後にして、近くの牧場でソフトクリームを食べ、帰途に着きました。
そして今日。
明日からの営業に向けて生地を仕込みに出勤しました。
久々に小麦粉に触れ、生地に触れる、その間中、昨日見た小麦のことを思い出していました。
僕の心の中には、小麦畑がありました。
だから何だというわけではありませんが、これから僕がパンを作るとき、折に触れてあの景色を思い出すでしょう。
伸びやかに育つ麦の穂と、北の大地の恵みに感謝しながら。
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