Cold summer (2021年・東京のサントラ)
- 2021/06/12
- 22:06
こんばんは。
昨日はクーラーをつけて寝ました。
まだ6月なのにこの暑さ。
おかげで食パン生地の発酵がずんずん進み、焼き上がりもどんどん早まっています。
ここ数日、食パンの焼き上がりは11時くらいです。
今年の夏も、まぁ暑くなるんだろうな、と半ば投げやりに思ったりもします。
照りつける太陽の下、どうしようもない熱さを肌の上に感じる、
その一方で、誰もいない公園の、忘れ去られた鉄棒みたいにひんやりと冷たい、どこか醒めた気持ちを胸の奥に感じます。
今年もまた、マスクを外せない夏が来る。
それは夏の衣を纏った、夏ではない何か。
その何かは、ただ暑く不快なだけで、誰の心も躍らせはしない。
もし、本当の夏がやってくるのなら、その短く熱い季節にめいっぱいの情熱と希望をありったけにぶちこんで、波の音や虫の声や花火の匂いや夢のような音楽を二度と戻らない思い出として刻みつけながらガラクタなのか宝物なのかよくわからない何やかんやを心のどこかの抽斗にしまったままで淡いセンチメンタリズムとともに夏の終りを迎えることもできた。
だけど、2021年の7月は、なんだか遠くの方で糸の切れた凧みたいに出鱈目な飛び方をしているばかりで、僕の心を躍らせはしない。
憂鬱な7月。
だから僕は、この夏をサヴァイブするためのプレイリストを作った。
踊ることを禁じられた国で、静かにステップを踏むためのプレイリスト。
ダンスフロアの鮮やかな光を夢想しながら、リビングフロアの間接照明で揺れるためのミックス。
車に積んであるCDを適当に選んで、その中から好きな曲を沢山パソコンに入れた。
昔よくやったみたいに、夏用のカセットテープを編集する時の気持ちで(サマージャム95'なんつって必ず直球のタイトルつけちゃって)、全体の流れを考えながら、それを聴く時のことを想像しながら作業するのは楽しかった。
出来上がったプレイリストは何度も聴き直して、いらない曲を削ったり、順番を変えたりして、それでもまだ納得出来ずに初めからやり直したり。
そしてようやく五日目に満足のいくものになった。
完全に自己満足。
そのプレイリストには、”Cold summer"という名前を付けた。
ヒップホップ、嫌いじゃなかったら聴いてみてください。
構成の大部分は90年代のストリクトリーなヒップホップで、クールかつソリッドなヴァイブスが滲んでいるものを選んだ。
たまにそうでないものにも寄り道するけど、基本的には熱くなりすぎないもの。
勝手にシンドバッドよりは、真夏の果実的なもの。
これを聴く時は、少し抑えめのボリュームで、快晴の炎天下よりは薄曇りの湿っぽい空の下がいい。
昼間の暑さが和らいだ夜の町を散歩がてら、ヘッドフォンで聴いても最高にいい。
もちろんパンを作りながら聴くのもいい。うるさ過ぎないから作業の邪魔にならない。
そもそもの始まりは、MOBB DEEPのアルバムを聴いている時に(多分)シングルカットされていないマイナーな曲を聴いて、それが良くて、この曲を中心にプレイリストを作ろう、と思ったから。
up north tripという曲。
この曲の雰囲気につながるように、全30曲、2時間ちょっとのささやかなトリップ。
1次発酵を終えた生地でフランスパンを作りながら聴くのにはちょうどいい長さ。
昔、どこかのパン屋さんが、パン生地にモーツァルトを聴かせながら発酵させる、みたいな話をしていた。うろ覚え。
そうすると美味しいパンになる、って。
それならうちのパンはどんな感じになるのかな。
Cash Rules Everything Around Me,なんてメソッドマンのフックをよく聴かせていますが。
後はセロニアス・モンクのソロとかエリカ・バドゥのライブ盤とかも聴かせています。
そのおかげかどうかはわかりませんが、自分でも嬉しくなるほど美味しいパンが焼けています。
いや、やっぱりそのおかげなんでしょうね。
音楽の力は偉大ですから。
むかしむかし、たかだか3分の音楽に希望を見つけた少年がいたように。
そしてその少年が何やかんや寄り道をしながら大人になって、パン職人として生きているように。
きっと誰の暮らしにも、その人ごとのプレイリストがあって、色々な音楽が生活の背景を作っているのだと思う。
何はともあれ音楽。
音楽がない人生なんて。
とりあえずオリンピックよりもウータンクランのライブが見たいです。
おやすみなさい。
昨日はクーラーをつけて寝ました。
まだ6月なのにこの暑さ。
おかげで食パン生地の発酵がずんずん進み、焼き上がりもどんどん早まっています。
ここ数日、食パンの焼き上がりは11時くらいです。
今年の夏も、まぁ暑くなるんだろうな、と半ば投げやりに思ったりもします。
照りつける太陽の下、どうしようもない熱さを肌の上に感じる、
その一方で、誰もいない公園の、忘れ去られた鉄棒みたいにひんやりと冷たい、どこか醒めた気持ちを胸の奥に感じます。
今年もまた、マスクを外せない夏が来る。
それは夏の衣を纏った、夏ではない何か。
その何かは、ただ暑く不快なだけで、誰の心も躍らせはしない。
もし、本当の夏がやってくるのなら、その短く熱い季節にめいっぱいの情熱と希望をありったけにぶちこんで、波の音や虫の声や花火の匂いや夢のような音楽を二度と戻らない思い出として刻みつけながらガラクタなのか宝物なのかよくわからない何やかんやを心のどこかの抽斗にしまったままで淡いセンチメンタリズムとともに夏の終りを迎えることもできた。
だけど、2021年の7月は、なんだか遠くの方で糸の切れた凧みたいに出鱈目な飛び方をしているばかりで、僕の心を躍らせはしない。
憂鬱な7月。
だから僕は、この夏をサヴァイブするためのプレイリストを作った。
踊ることを禁じられた国で、静かにステップを踏むためのプレイリスト。
ダンスフロアの鮮やかな光を夢想しながら、リビングフロアの間接照明で揺れるためのミックス。
車に積んであるCDを適当に選んで、その中から好きな曲を沢山パソコンに入れた。
昔よくやったみたいに、夏用のカセットテープを編集する時の気持ちで(サマージャム95'なんつって必ず直球のタイトルつけちゃって)、全体の流れを考えながら、それを聴く時のことを想像しながら作業するのは楽しかった。
出来上がったプレイリストは何度も聴き直して、いらない曲を削ったり、順番を変えたりして、それでもまだ納得出来ずに初めからやり直したり。
そしてようやく五日目に満足のいくものになった。
完全に自己満足。
そのプレイリストには、”Cold summer"という名前を付けた。
ヒップホップ、嫌いじゃなかったら聴いてみてください。
構成の大部分は90年代のストリクトリーなヒップホップで、クールかつソリッドなヴァイブスが滲んでいるものを選んだ。
たまにそうでないものにも寄り道するけど、基本的には熱くなりすぎないもの。
勝手にシンドバッドよりは、真夏の果実的なもの。
これを聴く時は、少し抑えめのボリュームで、快晴の炎天下よりは薄曇りの湿っぽい空の下がいい。
昼間の暑さが和らいだ夜の町を散歩がてら、ヘッドフォンで聴いても最高にいい。
もちろんパンを作りながら聴くのもいい。うるさ過ぎないから作業の邪魔にならない。
そもそもの始まりは、MOBB DEEPのアルバムを聴いている時に(多分)シングルカットされていないマイナーな曲を聴いて、それが良くて、この曲を中心にプレイリストを作ろう、と思ったから。
up north tripという曲。
この曲の雰囲気につながるように、全30曲、2時間ちょっとのささやかなトリップ。
1次発酵を終えた生地でフランスパンを作りながら聴くのにはちょうどいい長さ。
昔、どこかのパン屋さんが、パン生地にモーツァルトを聴かせながら発酵させる、みたいな話をしていた。うろ覚え。
そうすると美味しいパンになる、って。
それならうちのパンはどんな感じになるのかな。
Cash Rules Everything Around Me,なんてメソッドマンのフックをよく聴かせていますが。
後はセロニアス・モンクのソロとかエリカ・バドゥのライブ盤とかも聴かせています。
そのおかげかどうかはわかりませんが、自分でも嬉しくなるほど美味しいパンが焼けています。
いや、やっぱりそのおかげなんでしょうね。
音楽の力は偉大ですから。
むかしむかし、たかだか3分の音楽に希望を見つけた少年がいたように。
そしてその少年が何やかんや寄り道をしながら大人になって、パン職人として生きているように。
きっと誰の暮らしにも、その人ごとのプレイリストがあって、色々な音楽が生活の背景を作っているのだと思う。
何はともあれ音楽。
音楽がない人生なんて。
とりあえずオリンピックよりもウータンクランのライブが見たいです。
おやすみなさい。
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