ジャム

こんばんは。

前に店でジャムを炊いている時お客さまがいらっしゃり、ジャム作りはどういうところが楽しいのか、とご質問されました。

僕はしばらく考えて、「八百屋に行くところ」かな、と答えました（心の中で）。


その気になれば色んな果物が季節問わず手に入る便利なご時世ですが、僕は冷凍の果物を使ってまでジャム作りはしません。

八百屋さんに行って、お、もう葡萄が出始めたかぁー、あれ、いちじくはもうないのかー、今年も夏が過ぎたなぁ、、、。

とか感じるのが楽しいです。

パンを作っている時も、あれ、今日は湿度が高いな、とか温度が低いな、とか周囲の環境に対して意識的になるのですが、ジャム作りもそんな感じです。

ジャム作りを通じて、季節を感じられるのがいいです。


僕のジャム作りはマサコさんの本（真狩村のコンフィチュール・マサコ）にかなりインスパイアされています。

初めてその本を読んだとき、ジャム作りはパン作りと重なるものがあるな、と思いました。

シンプルな原料で素材の味を引き出す、という意味ではパン作りもジャム作りも同じです。

果物とレモン汁、砂糖。この三つだけでジャムを炊きます。

果物に砂糖をかけて数時間置いておくと、「浸透圧」という働きで果物からどんどん旨味の詰まった水分が出てきます。

まさに果物から旨味を「引き出している」感じがして、この瞬間がとてもいいです。

わざわざ水を加えなくても、この水分だけで十分ジャムができます。わざわざペクチンを使わなくても果物が持っているペクチン成分と糖分とレモンの反応でちゃんととろみがつきます。わざわざ着色料を使わなくても、果物の皮を利用すれば自然な色がつきます。

こういうのが、とてもいいです。

ジャムを作っていると、月並みですが、自然ってすごいな。と思います。

素材の力だけでこんな味や色になったりするんだな、と。


というわけで、今日はりんごジャムを炊きました。（いきなり宣伝すみません。）

市販のジャムは砂糖50％以上のものが主ですが、僕のジャムは砂糖の甘さより素材の味重視であるため30％程度です。

なのであまり日持ちしません。

もし今週末から再来週あたりにかけてご来店されるお客さまがいらっしゃったら、是非お試しいただきたいです。

一口食べれば、ほんのり秋を感じられると思います。

ではでは。